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「優秀な人材とはどんな人材なのかわからない」「優秀な人材の見極め方がわからない」
このようなお悩みをお持ちではありませんか。企業の人材採用を担う人事部門にとって、優秀な人材を採用することは重要なミッションです。
しかし、学歴・職務経歴といった選考書類だけで判断してしまうと、本来採用すべき人材を見誤る可能性があります。能力だけではなく人柄・仕事観を含めて総合的に判断することが必要です。
本記事では、優秀な人材を見極めるポイントを解説します。自社採用にお悩みの人事担当者様は、採用活動を見直す際の参考にしてください。
優秀な人材の定義、特徴を解説
そもそも優秀な人材とはどういう人物を指すかは、企業によって異なります。なぜなら、業界・業種によってビジネスプロセスが異なりますし、同じ業界内の企業であっても価値観や社風などによって、社員に求める能力も変わるからです。
一方、多くの企業に共通する「優秀な人材の特徴」が5つあります。
- 十分なスキルと経験を持っている
- 責任感を持ち困難にもめげない
- 自主性・主体性がある
- 周囲とコミュニケーションが取れる
- 会社や上司の指示に従える
ここからは、それぞれの特徴を詳しく解説します。
1. 十分なスキルと経験を持っている
会社という組織では、任せた職務に対して一定以上の成果が求められます。未経験入社の場合は、会社が業務に必要な教育機会を十分に設ける必要があります。
一方、経験豊富な人材であれば、専門的知識・スキルを兼ね備えているため、教育に掛ける時間は最小限で済みます。人によっては、自社が持つノウハウ以上に専門性に長けていることもありますので、そうした方の意見を参考に今までのやり方を改善することができます。
2. 責任感を持ち困難にもめげない
仕事は思い通りに行かないことの方が多いもの。任された仕事を途中で放り出さず、困難に立ち向かう責任感の強さは優秀な方に多くみられる特徴です。
困難に陥った時に、他者に責任を押し付けたり途中で諦めたりしてしまえば、それ以上の成長は見込めません。様々な逆境に立ち向かってきた人が、結果として優秀といわれるまでの人材に成長します。
3. 自主性・主体性がある
周囲のサポートがなくても仕事を遂行できることも、優秀さを示すファクターです。何でもかんでも上司の指示がないと動けなければ、その都度指示を与えなければいけません。
会社の目指す方向や部門の課題を理解し、「このように改善してはどうか?」「こういったことに新たに取り組んでみてはどうか?」と本来の業務にプラスアルファで取り組める人材は、将来的に会社に利益をもたらす可能性があります。
4. 周囲とコミュニケーションが取れる
仕事の多くは一人で完結するものではなく、複数のメンバーとチームを組んで協業することで、より大きな仕事をやり遂げることができます。
いくら個人の能力が高かったとしても、周囲と頻繁にトラブルがあれば、仕事が前に進まなくなります。優秀な人材には、自分以外の周囲にも気を配れるような視野の広さが特徴として見られます。
5. 会社や上司の指示に従える
いくら優秀な人材であっても自分の好き勝手に仕事を進めることはできません。業務上トラブルの発生要因の多くは、社内ルールの逸脱や上司の判断を仰がない自己判断によるものです。
何でもかんでも判断を仰ぐことは考えものですが、組織に属す以上、社内ルールの遵守は求められます。優秀な人材は決して自己判断せず、必要に応じて上司に指示を仰ぐことを心得ています。
優秀な人材を採用するメリット
優秀な人材を採用することで、会社は今よりも成長することができます。当たり前のことに聞こえますが、採用担当者はそのことを正しく理解する必要があります。ここでは、優秀な人材を採用するメリットを3つ紹介します。
- 会社に利益をもたらす
- 教育に時間・労力が掛からない
- 権限委譲により監督者が重要な案件に集中できる
1. 会社に利益をもたらす
優秀な人材とは、一言でいってしまえば「会社に利益をもたらす人材」のことです。営利目的である以上、企業は利益を出し続けることが求められます。市場や産業構造が変化する中でも、新しいチャレンジを試み、利益を生み出してくれる人材は間違いなく優秀といえるでしょう。
2. 教育に時間・労力が掛からない
優秀な人材は専門知識・経験が豊富であるため、未経験者向けに行われるような教育・研修を必要とせず、マネジメントにも手間がかかりません。
さらに、自身の経験をもとにメンター役や教育担当としての役割も期待できます。チームの士気を高め、後輩のサポート面で高いパフォーマンスを発揮する可能性があります。メンター制度に関する注意点はこちらからご確認いただけます。
3. 権限委譲により監督者が重要な案件に集中できる
リーダーは、優秀な人材に自身が抱える業務の一部を権限委譲することで、より重要な業務に集中することができます。また、難易度の高い業務を優秀な人材に任せることは、本人のさらなる自律性を促すことにも繋がります。
優秀な人材を採用する際の注意点
優秀な人材を採用することは、会社に大きな利益を生み出す可能性を期待できますが、一方で採用時にはあらかじめ念頭に置くべき注意点もあります。
ミスマッチによる早期退職のリスクがある
経験・能力といったスペックは十分に備えていたとしても、本人の価値観と会社のカルチャーが合わないことがあります。入社後はチームワークを発揮して成果をあげていくことが求められるので、社風とのフィット感は大切な要素です。
採用選考時には職場見学の実施や、複数のメンバーと面談機会を設けるなどして、お互いにミスマッチがないか確認すると良いでしょう。
リーダーの指示に従わないリスクがある
優秀な人材は、これまでの実績を裏付けるノウハウ・経験から、自分なりの考えや仕事の進め方が確立され、新しいやり方に従わないことがあります。いくら高い成果を上げられるとはいえ、リーダーの指示に背くことは組織に悪影響を及ぼします。
一方、本人のやり方が参考になる場合もあります。リーダーに求められることは、意見を押し付けて従わせることではありません。チームとしてこれまで以上に高い成果を上げるためには、新しい知見やアイデアが必要な場合もあるでしょう。
優秀な人材と会話する中で、仕事の進め方や考え方に相違があると感じた場合は、参考にする部分と会社として変更が難しい部分をしっかりと分けて理解を促すことが重要です。優秀な人材に愛想を尽かされないためにも、互いを尊重し合える企業風土の醸成が求められます。
優秀な人材を見抜くポイント
採用担当者は優秀な人材を採用することがミッションです。ここまで解説したように、優秀な人材とは学歴や実績といった情報だけでは不十分です。たとえ明確な実績がなかったとしても、それだけで候補から外してしまうのは非常にもったいないことです。ここでは、自社に利益を生み出してくれる人材を見分けるポイントを紹介します。
現場にヒアリングをする
採用担当者が考える優秀な人材と、実際に配属される優秀な人材に相違があり、採用したものの早々に退職してしまったという話は枚挙にいとまがないものです。そうしたミスマッチをなくすためにも採用担当者はしっかりと現場を理解することが大切です。
上司となるリーダーへのヒアリングや、その部署で最も成果を上げているエース社員にヒアリングをしてターゲットイメージを明確にしましょう。その際、必要な採用要件だけではなく、絶対に採用すべきではないアウトゾーンも確認しておくと、ミスマッチを防ぐ上で役立ちます。
仕事内容に具体的なイメージが持てなければ、採用担当者も就業体験をするなどしてリアリティを持つことも大切です。
応募者に適切な質問をする
たとえ、応募者に実務経験やスキルがなかったとしても、優秀な人材を見抜くことができれば将来的に会社に大きな利益をもたらす可能性があります。
そのためには、応募者に本質を突いた質問をすることで本人の有能さを感じ取ることが可能です。具体的には以下のような質問をすると良いでしょう。
- この仕事に何を期待し、会社に何を求めているのか。
- 自身のスキルや経験をどのように活かしたいと考えているか。
まとめ
本記事では、優秀な人材の採用について、人材の定義から優秀さを見抜くポイントまで解説しました。「優秀すぎる人材を採用してしまうと、会社にフィットせずに辞めてしまう」というリスクを考えるあまり、あえて優秀な人材を候補から外すことがありますが、非常にもったいないことです。
大事なことは長く働いてくれる人材を採用することではなく、会社に利益をもたらす優秀な人材を採用し、その人材が辞めないための最適な就業環境を用意することです。人材に見合った適正な給与が支払われているか見直すことも、優秀な人材を定着させる策のひとつです。ロバート・ハーフが実際の市場情報をもとに構築した無料の給与ガイドからさまざまな職種の適正給与がご確認いただけますので、そちらもぜひご活用ください。