優秀な従業員を職場につなぎ留めることにおいては、昇進、新築オフィス、それから昇給に勝る方法はありません。ただし従業員にお金をつぎ込むことばかりが彼らを認め、その貢献に報いる最良の方法でないことも確かです。特につぎ込む予算がない場合はなおさらです。雇用主としては従業員のモチベーションを上げる別の方法を考え、褒賞を与える方法を工夫する必要があります。
従業員レコグニションが重要である理由は何でしょう?マネージャーとしては、チームのモチベーションを上げ、忠誠心を固め、企業に貢献し続けてもらうことに取り組みます。事実、いつもの給料が少しでも増え、福利厚生が充実すれば誰だって嬉しいものですが、部下の貢献に褒賞を与え、感謝を示すには他の方法もあり、しかもすべてに大きな費用が掛かるわけでもありません。
キャリアを高める機会が現実的にある場合を除いて、こうした方法は長期的な視点で高い満足度を維持するには不十分かもしれません。ですが金銭によらない社員特典にも前向きな職場環境を構築し、従業員モラールを向上させる効果は期待できます。
強固なチーム文化と前向きな職場環境の構築は、部下の職場生活向上に大きく役立ちます。従業員が職場に留まるか、転職に向かうかは、往々にして日々のレコグニションと褒賞が大きく関わります。金銭的な褒賞を多く与えられない場合でも、従業員の頑張りに報い、日々の生活を少し豊かにする方法を検討することには価値があります。以下にその方法をご紹介します。
1. 誕生日の朝はのんびりと
誕生日が休みだったら、と思う人も少なくないでしょう。ただし毎回その日に有休をとれるとも限らず、従業員の特別な日に少し楽ができるようにすることは、普段の頑張りを認めて、感謝の気持ちを伝えるささやかな意思表示になるでしょう。例えば、いつもより少し長く眠り、ゆっくりと朝食を楽しんで昼頃に出社できるようにしたり、通勤せずに済むように自宅勤務を許可したりしてはどうでしょう。一番のおすすめは思い切って休暇を取ってもらうことです。
2. 社外活動を取り入れる
年に1~2回、社外で活動する日を設けると従業員モラールの向上に大きく役立ちます。企業のチームビルディング研修はひとまず置いておいて、自然の中(安全は確保したうえで)でのびのびと過ごしてもらいましょう。ここでいう「自然の中でのびのび」とは、高い木の上に張ったワイヤーに吊り下げた滑車で疾走するジップラインや急流下り、360度回転するローラーコースターのことですが、もし気が進まなければ、代わりに家族で楽しむ公園のピクニックも従業員の貢献に報いる良い方法です。楽しい時間を過ごせば、同僚との絆も自然に深まり、チームの強い精神も確立されるはずです。社外で同僚とつながることにより、それが良好な関係となって、社内環境に還元される可能性が高まります。
3. 部下がよろこぶ割引を提供する
ビジネスリーダーとして、企業が持つ顧客、サプライヤー、提携先との関係を活用して従業員向けの素晴らしい褒賞にするものおすすめです。部下がいつもより少しお値打ちに買い物、外食、エクササイズ、おしゃれを楽しめるように、近隣のジムの会員費やカフェ、美容院の割引などを用意してみましょう。価値のあるものを安く利用できるとあれば、その企業のために働くことに対する純粋な社員特典としてよろこんで受け取られるはずです。
4. カジュアルフライデーの設定
全員のお気にいりとまではいきませんが、大好きな人も多いのがカジュアルフライデーです。堅苦しいスーツを脱いだカジュアルな装いが、従業員の一日を明るくしてくれることは間違いありません。イギリス、オーストラリア、インド、カナダ、南アフリカなど、多くの国では、カジュアルデーをマフティデー(Mufti Day)とも呼び、普段制服やスーツで通勤通学する人たちが私服で来る代わりに1ポンド、1ドルといったコインを慈善団体に寄付することがよくあります。こうしたアイデアを取り入れて、顧客も納得の前向きな活動につなげることももちろん可能です。
5. TVテレビを付けるV
オリンピック、ワールドカップ、はたまた地元のプロ野球チームが10年ぶりに優勝しそう、など、多くの人々が関心を寄せる一大イベント時は職場でもテレビを付けて、従業員と一緒に手に汗握る展開をライブで共有しませんか?これについても全員が見たいとも限らないため、会議室などのテレビを付けるのが最も良い方法です。仕事を続けたい従業員を邪魔しないための配慮にもなります。
6. 感謝を示すピザ(または寿司)パーティを開催
新規プロジェクトの完了や四半期目標を上回る成果を上げたときには、チームの成功を認めて感謝し、ピザパーティ(寿司パーティも可)でお祝いしましょう。仕事を頑張ったご褒美に会社持ちのランチを楽しめるとあれば、従業員のやる気も確実に上がるでしょう。
7. 柔軟性を持つ
おそらく、褒賞として従業員に最も喜んでもらえるのは実用的で柔軟性に富んだ管理体制です。私用で職場を抜けなければならないときでも、同じ週に埋め合わせが可能な場合は、貴重な半休を使わずにすむようそのまま行かせてあげましょう。同じく、子どもの送り迎えが必要な従業員には柔軟な勤務時間を提供し、ワークライフバランスを達成できるよう支援しましょう。
「ありがとう」の言葉を忘れない
従業員レコグニションとやる気の向上に関しては、頑張ってくれたことに対する、素直な「ありがとう」の一言が大きな役割を果たします。ひとり一人に直接伝えるときも、社内の一斉メールや週一のチームミーティングで伝えるときも、はっきりと「ありがとう」と言うことが従業員の心に届くでしょう。
従業員レコグニションは仕事へのエンゲージメント、満足度、忠誠心につながる大切な要素ではありますが、部下を認め、その頑張りに報いることは金銭的なものだけではありません。上にご紹介したような創造性と一工夫を働かせて従業員を褒めて、感謝の気持ちを示してよりよい職場文化を築きましょう。