新型コロナウイルス感染症対策として、強制的なリモートワークが企業にとって避けられない現実となりました。たとえ感染症への対策が緩和されたとしても、当面は「新しい生活様式」としてフルタイムまたはパートタイムのリモートワークの定着が予想されます。
リモートワークは、オンライン会議やインスタントメッセージなどの普及とともに、近年すでに増加傾向にありました。しかし、多くの企業には、リモートワークですべての業務を完全にこなすだけのツールやインフラ等がまだ備わっていません。
企業が業務のデジタル化を受け入れざるを得ない現在、「すべての企業がテクノロジー企業となる必要がある」とよく言われます。これには従業員がインターネットを使って任意の「仮想オフィス」で働けるようにすることも含まれます。この新しい体制に従業員を導くには、どうすれば良いのでしょうか? ロバート・ハーフは、デジタルトランスフォーメーションのリーダーであるKnight’s Move Consultingのリチャード・ライ(Richard Raj)氏に、短時間でリモートワークに移行するためのアドバイスを伺いました。
最初にすべきこと
コンピューターやデジタル機器で主に仕事をしている従業員にとって、オフィスへのリモートアクセスは目新しいことではないと、ライ氏は語ります。「たとえばITやデジタル技術の担当者は、普段から自宅やオフィス外で仕事をしたり、時間外に要請を受けたりすることが多く、既に十分に実践を積むことができています。」
「しかし、人事、財務、購買など、主にオフィスで仕事をする従業員には新しい体験」となることに加え、一般に対面でのやり取りが多い営業やマーケティングの担当者にとってもリモートワークのハードルは高いと考えられます。したがって、誰でも簡単、かつ迅速に使えるリモートワークツールを与えることが必須です。 従業員をすぐにでもリモートワークへと移行させたい企業経営者に対し、ライ氏は以下のポイントの検討を勧めています。
1. インフラの容量
貴社のインフラは、多数のスタッフによるリモートネットワーク接続に対応していますか? 社内のシステム設計がリモートワークを想定していないのであれば、集中的なアクセスは困難でありハイリスクです。「DaaS(デスクトップアズアサービス)ツールを利用する手もあります。これならクラウド経由ですべてにアクセスすることができるため、クラウドプロバイダーが自社に割り当てた容量だけを気にすれば済みます。」ITの使用量が比較的、多くない中小企業は通常、リモートワークに対応するVPNなどのプライベートネットワークを持たないため、なおさらDaaSの利用が便利です。
2. セキュリティ
リモートワークではセキュリティが最優先事項です。すべての従業員に社内のセキュアなデバイスやノートPCを貸与できない場合は特に重要となります。ライ氏は、従業員が自宅や他の場所でオンライン会議やチャットを利用する手段として、個人所有のモバイルデバイスが一般的になると考えています。
同氏は、最新の暗号化プロトコルで保護されたセキュアなセッション内でコラボレーションツールを利用することを推奨しています。また、パスワードにワンタイムPINや秘密の質問などを加え、「従業員に多要素認証や二要素認証でログインさせることも重要」とも語っています。
3. コラボレーションツール
リモートワーカーまたは半リモートワーカーを率いる上での大きな課題の1つは、多種多様なテーマでの会話を通して、前向きで生産性の高い従業員を生み出していくことです。したがって以下の目的を含め、従業員が業務や共同作業を遂行するためのさまざまなチャネルを作ることが不可欠です。
- 一般的な日常業務
- プロジェクトでの共同作業
- 仕事や交流目的での会話
- 在席/退席の表示
- 顧客との連絡
言うまでもありませんが、生産性を維持し、マネージャーが効果的なサポートや指示を与えるためには、全員が短時間で習得できるツールを選ぶことが大切です。ライ氏は、この点でも自社ソリューションよりDaaS製品が有用だと考えています。「DaaSなら、契約後にはほとんど即座に1カ所ですべてのコラボレーションツール、ストレージ、ファイル共有機能を利用することができます。」
ライ氏は、クラウドベースのデスクトップであれば、リモートワークに慣れていない部署のスタッフでもスムーズに仕事をすることができるとしています。多少のトレーニングは必要ですが、オンラインチュートリアルを基に自分で仕事を始められますし、ニーズに合わせた専用トレーニングも提供されているからです。
顧客との連絡
現在の状況では、顧客と連絡を取り合うのが難しい場合もあるでしょう。「これは最優先事項の1つです。特に現在の経済情勢下では、事業を継続しているという印象を与えることが重要であり、得意先との連絡が途切れるのは良くありません。」
企業は、対面での意思疎通ができない現状で、従業員がどのようにオンラインで顧客とのやり取りを維持すべきか、明確な考えと戦略を持つ必要があります。ライ氏は、この点でコールセンターのような代替策の提供が不可欠だと語ります。「ここでもDaaSツールを利用し、リモートコールセンターを開設すれば、営業やサポートの担当者が在宅勤務でも顧客からの連絡を受けることができるようになります。」
HubSpotの調査によれば、顧客が競合他社に流れる5大理由のうち1つは、カスタマーサポートの欠如とされています。多くの企業において、新型コロナウイルス感染症対策が緩和された後もリモートワークが「新しい生活様式」になると予想される現在、リモートでの共同作業やコミュニケーションの強力な基盤を社内に構築することが重要となるでしょう。
ロバート・ハーフは、これまでに数多くのお客様に優秀なリモートワーカーをご紹介し、そのオンボーディングのお手伝いをしてきました。在宅勤務をしている従業員同士のやりとりや従業員と顧客との間におけるコミュニケーションをサポートする方法を弊社よりご案内させていただきます。