就職活動というのは容易なことではありません。求人情報を拾い、企業研究し、履歴書を作成して送付する――。これらはすべて時間のかかる作業です。しかも、今すでに在職中であれば、この過程はさらに困難になるかもしれません。転職活動が、裏で進める極秘作戦のようになってしまうこともあるでしょう。

このことを考えれば、正式な採用通知をようやくもらえた人が、すぐさまその内定に応諾したいと考えるのも無理はありません。しかし、就職活動がどんなに大変であっても、オファーを受け入れる前に、具体的に何が提示されているかを慎重に評価することが重要です。

ここで時間を費やしておけば、近い将来また就職活動を一からやり直す苦労をせずに済むかもしれません。その就職先が自分にとってベストの選択肢かどうかを見極めるうえで役に立つ4つのステップをご覧ください。

1. 採用通知に応じる前に職務記述書を入念に確認する

職務記述書は、新しい職場で日々遂行することになる業務を具体的に把握するという点で最も有用なツールです。ですから、あらためて詳細に目を通し、以下の質問に正直に向き合ってみてください。

その役職に求められている要件が、自分のスキルや経験のレベルに合っているか
その仕事に面白みとやりがいを感じられるか
毎日の業務から充足感や楽しみを得られるか
他のスタッフとかかわってコラボレーションできるような仕事か

キャリアアップのチャンスが十分にあるか

いいえ」と答えた質問が1つでもある場合は、採用通知に応諾した後になって不満や後悔を感じることがあるかもしれません。

2. 会社を評価する

次に、会社のことを精査しましょう。どんな評判のある会社ですか? 会社の理念や文化が自分に合っていますか? 特に、離職率が高い会社という評判があるかどうかは重要です。また、キャリアパスが明確に定義されていて、個人のスキルセットを能力開発する機会が社員に与えられているかどうかも調べてみてください。

3. 待遇を総合的に確認する

提示された報酬は、書面上は良く見えるかもしれません。でも、世間の相場と比べてどうかが真の問題です。まずはロバート・ハーフの給与ガイドを使用して正確に比較してください。次に、柔軟性のある働き方が可能かどうかなど、福利厚生面も確認します。この種の現金報酬以外のメリットは、特に複数の採用通知を天秤にかける場合に重要な決定要因となることがあります。具体的に希望する待遇がある場合は、雇用契約に組み入れてもらえるよう交渉することもできます。

4. カウンターオファーに備える

会社というのは、人材を失うことを嫌うものです。このため、今の会社に退職願を出すなりカウンターオファーを提示されたとしても、驚きではありません。カウンターオファーには、昇給や昇進からエキサイティングな新規プロジェクトの約束まで、さまざまな魅力がいっぱいに盛り込まれている可能性があります。それを見て嬉しくなり、誘惑に駆られることはあるかもしれませんが、一歩下がって、そもそも転職先を探し始めた理由を考えてみてください。

カウンターオファーは一時的な解決策になる場合がありますが、カウンターオファーを受け入れた社員が結局はわずか数カ月後に辞めていく可能性が高いことは、各種の調査で報告されています。しかも、カウンターオファーに応諾することには、大きなリスクがあるかもしれません。会社は単に、あなたの代わりになる人材が見つかるまでの時間を稼いでいるのかもしれません。それに、そもそもなぜ、あなたが退職願を出すまで昇給や昇進が提示されなかったのでしょうか。最低でも、退職願を出したことで、あなたと会社の関係、あるいは同僚との関係にも、ひびが入った可能性があります。会社に対するあなたの忠誠心は疑われるようになり、転職希望者と見なされてしまうかもしれません。

こうしてメリットとデメリットをすべて検討したうえで、最後は自分の勘を信じるしかないこともあります。新しい仕事が本当のところどんな仕事かは、働き始めてみるまで分からないものです。とはいえ、「この採用通知に応じるべきか」を考えるに当たって、その会社と役職について十分に検討することで、かなり確実な答えが出せるでしょう。重要なのは、あらゆることを考慮したうえで、キャリアアップにつながるベストの一歩かどうかを見極めることです。