SNSは現在世界人口の63%が使っており、私たちの生活に深く浸透しています。一方で、SNSによる問題行動として「SNS依存」が指摘されています。SNS依存は我々のライフスタイルにさまざまな悪影響を及ぼすことがわかっています。

人によっては、SNS依存によって私生活だけでなく、仕事に支障をきたし、今まで築き上げてきたキャリアにまで悪影響を及ぼすリスクがあります。そうならないためにも、SNS依存になるメカニズムや特徴を理解し、SNSと正しく付き合うことが大切です。

本記事では、SNS依存の特徴について解説しますので、自分自身はもちろん、周囲の大切な人がSNS中毒になることを防ぎましょう。

SNS依存(SNS中毒)とは

SNS依存とは行動依存の一種で、その行動に悪影響があると分かっているにもかかわらず、使うことを止められない状態を指します。

行動依存の代表例として、喫煙、ギャンブル、アルコール中毒などがありますが、SNS中毒もそれらと同じで、使いすぎることで様々なリスクを引き起こすリスクがあります。

SNS依存の特徴とは

SNS依存と一言でいっても色々な特徴があります。例えばソーシャルメディアで発信した経験がある方ならば、「いいね!」の数やコメント内容が気になってしまうといったことがあるでしょう。

自らの発信に対してポジティブな反応を得られることは、承認欲求が満たされるため、とても気分がいいものです。しかし、もっとたくさんの人から反応をもらうために発信内容が過激になったり、「いいね!」の数やフォロワー数が減ってしまうことで強烈な不安や欠乏感に襲われたりすることもがあります。

また、「もっと知りたい。もっと見たい。」という欲から、公開され続ける最新フィードを延々と見続けてしまい、やめ時がわからなくなることも考えられます。

もちろんSNS自体は悪いものではありません。しかし、使いすぎによって日常生活に支障をきたすようになると、SNS中毒が疑われます。結果として、リアルでの人間関係が損なわれる可能性や、睡眠不足による体調不良、仕事の生産性低下などさまざまな問題が発生するようになります。

ノモフォビア(携帯電話依存症)の特徴

SNS依存に関連した症状として「ノモフォビア」があります。ノモフォビアはNo-Mobile-Phobiaの略で、携帯電話依存症を指します。携帯電話が手元にない、あるいはインターネットにつながらないといった不安から精神的・身体的な不調を崩すことがあります。

例えば、家に携帯電話を忘れてしまい1日何も手につかなくなるという心理状態も、ノモフォビアの症状の一つです。

スマートフォンがあれば、常に誰かとつながりを持てる時代ですが、こうした依存症が近年問題視されています。

主なSNS依存の例とは

SNSには、さまざまなサービスがあり、複数のサービスを併用している方も多いでしょう。サービスによって特徴が異なるため、SNS依存の実態もそれぞれです。ここでは代表的なSNS依存の特徴について解説します。

Facebookで最新投稿が気になる

Facebookは世界で13.5億人以上が利用する巨大SNSです。実名登録で友人や知人の近況をチェックしたり、自分の近況を発信したりできます。

フィードには写真や動画などの最新情報がリアルタイムで公開されるので、通勤途中や隙間時間に半ば無意識的にFacebookアプリを開き、最新情報をチェックしている方も多いでしょう。

しかし、頻繁にアプリをチェックすることで、勉強や仕事がおろそかになったり、大切な人と過ごす時間までタイムラインを見続けてしまったりするのはFacebook依存です。

また、自分の意見や考えに共感をしてもらうために、Facebookで頻繁に投稿をしたり、公開相手を制限せずにプライベートなことまで赤裸々に公開したりすることも、Facebookへの依存度が高い状態といえるでしょう。

LinkedInでのキャリア比較

LinkedIn(リンクトイン)はビジネス特化型SNSとして世界に7億人以上のユーザーが登録しています。今までSNSといえばプライベートの側面が高いものでした。例えば、どこに出かけたか、誰と交友しているかなどです。しかし、LinkedInが登場したことで就職・転職などキャリアの分野でもSNSを活用する機会が増え、新たな問題を引き起こしています。

例えば、LinkedInでは「つながりの提案」が次々と表示されるため、人脈を広げるために気になった方にすかさず「つながりを申請」する人もいるでしょう。また、LinkedInには相手の職務経歴が表示されるため、過去の同僚や友人、あるいはフレネミー(友達のフリをした敵)がどんな仕事をしているか気にしたり、同期が経営陣に出世したのを見て落ち込んだりする人もいます。

他人のキャリア情報を頻繁にチェックすることで心が乱され、自分がやるべき業務に集中できていなければ本末転倒です。SNSを見なければ気にしなくて済むことを常に把握せずにはいられないと感じることも、SNS中毒の特徴といえるでしょう。

オンライン交流に関するアドバイスはこちらの記事からご覧いただけます。

SNS依存の見分け方

SNS依存は「SNSがないと落ち着かない」といった状態のことです。例えば、入浴やトイレで用を足している最中までスマホを操作する、目的がなくてもついSNSを開いてしまう、誰かと一緒に過ごしている時もSNSをチェックするといった行動が顕著に見られます。

SNSは基本的にその人の人生のハイライト(功績、貴重な体験など)が投稿されるため、相手のことが必要以上に素晴らしく見えるものです。他人のSNSを見ることで、自分の生活に不満を感じたり、自信喪失に悩まされたりする人が増えています。

本来、自分の人生は誰かと比べるものではありません。ましてや、他人の人生のワンシーンを見て一喜一憂する必要はまったくありません。SNSの中で起きていることよりも、リアルな日常を大切にしましょう。

SNS依存から脱却する方法

もし、SNS依存が疑われるようであれば、心身に支障を来たす前に、SNSをコントロールすることが必要です。もし周囲に深刻な状態な方がいれば、生活や仕事に支障を来してしまう前に専門家に相談することも検討しましょう。

例えば以下のような方法が挙げられます。

  • 誰かと過ごす時間はスマートフォンに触れない
  • SNSのプッシュ通知をオフにする。
  • キャンプや登山などネットが繋がらないアクティビティをする
  • SNSの利用時間を計測する(計測機能を使う)
  • SNSに触れない曜日を1週間の内に1日作る
  • アカウントを退会しアンインストールする

いきなりすべてを行うことは難しいかもしれませんが、まずは出来ることからやってみることをおすすめします。

まとめ

SNSはとても便利なツールですが、依存状態になるとあらゆる場面で悪影響を及ぼします。特に、SNS依存は非常に強力で、一度染み付いた習慣を絶つことは容易ではありません。実際、SNS企業はあの手この手で、SNSに触れさせようとあなたの興味を引こうとしてきますので、気を緩めると再び依存状態に戻る可能性があります。

また、SNS断ちをしようとすると、自分だけが知らない状態に不安を感じたり、周囲に置いていかれるような焦りを感じたりすることがあります。しかし、そうした気持ちが強くあらわれるということは、それだけSNSに依存していることでもあります。

SNSの影響でリアルでの交流関係が希薄になったり、重要な仕事で成果を出せなかったりしては元も子もありません。まずは自分が「SNSに依存している」と自覚し、SNSとの関係を見直すことが大切です。

SNSを遠ざけることで、「いいね!」やコメント数に縛られない人生の価値を再発見できるようになりますし、リアルでの人脈づくりや大切な相手との信頼関係構築にもつながります。人脈づくりのコツはこちらの記事もご覧ください。